○○療法なるものが、介護業界にはたくさんあります。
園芸療法、演芸療法、音楽療法、回想療法、化粧療法、学習療法・・・・・・その他、いろいろ。
多くの介護施設において、あまりにも簡単に○○療法という言葉を使うところが増えてきており、私としましては、ちょっと危惧しております。
介護の世界では、○○療法は「非薬物的療法」と位置づけられておりますが、そもそも「療法」とは何なのか?ということから考えていく必要があります。
国語辞書の大辞泉によると、
療法・・・治療のしかた。治療の方法。
とあります。
ということは、上記の○○療法なるものは、何の「治療」なのか?ということが大切です。
一般的には「認知症」に対する非薬物的療法とされています。
では、「治療」という言葉は何なのか?ということを考えていくと、
同じく、国語辞書の大辞泉によると、
治療・・・病気やけがをなおすこと。病気や症状を治癒あるいは軽快させるための医療行為。療治。
とあります。
その言葉どおり、本当に、「治癒あるいは軽快させる」 ことができるのか?ということを、しっかりと考えなくてはいけません。
そのためには、基礎理論をしっかりと学び、きちんとデータを取り、分析して、改善しながら、取り組んでいかなくてはなりません。
ただ単に、庭いじりをして園芸療法、歌を歌って音楽療法、昔話をして回想療法、計算をして学習療法、と言っているのは、やはり問題があるということです。
(※『学習療法(R)』は東北大学・川島隆太教授と公文教育研究会の登録商標です。このブログでは、一般的に、多様されている非認可の「学習療法」に対して述べています。)
さて、上記の行動についてですが、介護施設以外の場所、すなわち自宅においては、当たり前に、日常的に行われていることであります。
すなわち、わざわざ○○療法なるものを行わなくても、普通に生活していれば、行っていることといえます。
逆に言えば、介護施設においては、この「当たり前」のことができなくなっている、ということにも繋がります。
○○療法なるものを、わざわざしなければならないほど、日常生活においてできていない、ということなのかもしれません。
月に1回や2回、○○療法をしたからといって、何かが変わるはずはありません。
変わらないのであれば、それは、○○療法ではなく、○○というレクリエーションと言えるのではないでしょうか。
だとすると、堂々と、○○レクリエーションと言った方が、適切ですし、意義があると思います。
さて、皆さまのご施設で取り組んでいる○○療法。
それは、本当に「療法」なのか?
一度、皆さんで話し合ってみるのも、意義があるのではないでしょうか?
そもそも、介護って「治す」ことが目的ではないですよね。
ところで「治す」って意味は?
(記 平成25年7月13日)
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