管理者は、いったい何の仕事をしているのだろう?
私が見るところ、な〜んにもしていないように思うのだけれど(笑)
↑たぶん、この上司の方々は、きちんと仕事をされています。
管理者は、なんか、いつも忙しい、忙しいと言っていて大変だなぁ。
相談したいことがあっても、後で!って言われるし、指示をもらいたくてもいないし。
ほんと、管理者って大変だなぁ(汗)
↑たぶん、この上司の方は、本来の仕事が何にもできていないかもしれません。
マネジメント = manage の名詞形
manage = 管理する、経営する、切り盛りする、統率する 等
管理者 = 管理(manage)をする人 = manager
マネジャーというと、ケアマネを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ケアマネジメントは、どのように介護サービスでその方を支えるのかを管理する人、そのための他事業所との連携がうまくいくように管理する人、これが、ケアマネジャーの仕事となります。
マネジメントにつきましても、経営マネジメント と 運営マネジメント は、また、全く違うものになりますが、今回は、運営マネジメント、すなわち管理者とかリーダーとかいう役職がついている方々の仕事のお話です。
介護業界に限らずですが、管理者さんの不満やグチを聞いていますと、よく出てくるのが、
「話を聞いてくれないんですよね。」
「言ったことを、やってくれないんですよね。」
「勝手に違うことやるんですよね。」
「あれができなんですよね。これもできないんですよね。」
「どうやったら、わかってもらえますかね?」
「どうやったら、動いてもらえますかね?」
「どうやったら、自分の頭で考えてくれますかね?」
という、部下に対する内容です。
(経営者に対する不満、グチは今回から省きます。)
で、対策をどうしているのかというと、
1.部下がきちんと動いてくれない
⇒ 怒る、叱る、怒鳴る、イライラする
2.部下がきちんと動いてくれない
⇒ あきらめて、自分が動く
というケースになっていることが少なくありません。
実は、これ、どちらも管理者としては失格となってきます。
結論だけ言うと、「あなたが、ちゃんと管理業務をしていないからでしょ?」ということです。
ではでは、管理業務って何なのよ? ということになるのですが、介護業界において、この「管理業務(マネジメント)」をきちんと学ぶ機会というのがありません。
すなわち、管理とは何かわからないまま、管理者という業務を行っているケースが多い、ということになってきます。
これは、大きな問題です。
OJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブトレーニング)という教育手法がありますが、
まぁ、現場で覚えてよ!、仕事は目で盗むものだ! という、昔の寿司職人のような仕組みというのは、実はOJTではないわけです。
正しいOJTについては、山本五十六さんの言葉がすべてを物語っているのですが、
http://www.meigensyu.com/quotations/view/2936.html
OJTの手法自体も、介護の現場では、きちんと学ぶ機会がないのも事実です。
管理者自身の管理業務もそうですし、部下に対する指導も、何をすればよいのか?何のためにすればよいのか?をきちんと理解しないまま、なんとなく流れてしまっている危険性があるわけです。
その場合、まず、どのような危険性があるかといいますと、
管理者 = 部下より偉い人、部下よりすごい人
という、大いなる勘違いからスタートしてしまうということ。
恥ずかしながら、私自身が、20代の頃、この大いなる勘違いで、とても痛い目に合いましたのでよくわかります。
名選手は名監督にあらず、という言葉もありますが、管理という業務と、現場という業務は、まったく違う業務なわけです。
したがって、管理者の仕事は管理なわけで、現場の仕事は部下が行うわけです。
管理する人間が偉いのではなく、「仕事の種類」が変わったということになります。
このことを理解していないと、現場で優秀だった方が管理者に昇格すると、とても現場が混乱してくる、現場がぎくしゃくしてくる、管理者も部下も不満が溜まってくる、という状況が発生してきます。
これは、とっても大変なことです。
管理者として大切なことは、
1.会社の方針(経営者の方針)を、きちんと理解して、部下の言葉に翻訳して伝えることができる。
「私たちはこちらに進みます!なぜならば、○○だからです!」
2.望む方向に進むため、現場で行うルールを決める。
「そのためには、□□でなければならない。だから、こうしよう!」
3.それを実行するために、最も最適な方法をトライ&エラーで考えて実行していく。
「こうした方がよいと思う。なぜならば。」
「こうしたら、こうなった。だから、次はこうしてみよう。」
4.その方法が、「誰でも、きちんと」できるよう、各人に合った指導を行っていく。
その人ができないということは、その人が理解できるように指導していない、ということ。
一人一人、性格が違います。
理解が早い人もいれば、理解が遅い人もいます。
記憶力が良い人もいれば、記憶力が悪い人もいます。
器用な人がいれば、不器用な人もいます。
会話が得意な人もいれば、不得意な人もいます。
笑顔が素敵な人もいれば、笑顔がひきつっている人もいます。
言葉遣いがよい人もいれば、何か勘違いしているために悪い人もいます。
5.部下の仕事を取り上げない!
そして、最後にここが大切!
自分の方ができるからといって、部下の成長機会を奪ってはダメです。
自分が苦労して身につけた能力や知識を、簡単に部下に渡すのを嫌がっていてはダメです。
つまり、最初の様々な不満やグチは、管理者自身が管理業務ができていない、ということの裏返しでもあるわけです。
管理者も、日々、学んで成長しないと!なのです。
結論を言いますと、
・部下が言葉遣いが悪いのも、管理者の責任
・部下が挨拶できないのも、管理者の責任
・部下の介護技術が不足しているのも、管理者の責任
・部下が自発的に動かないのも、管理者の責任
・部下がミスばかり起こすのも、管理者の責任。
ということです。
では、管理者への教育はどうすればよいの?
では、管理者たる私はどうすればいいの?
ということにつきましては、ぜひ、セミナーでお話しますので、お声かけくださいませ!
石崎自身が「マネジメント」ということを理解し始めたきっかけは、ある部下の方のお陰でした。
本人も読んでいると思いますので、失礼を承知で言いますと、当初、私はその方のことを、レベルが低いという認識をしておりました。
言ったことはしてくれない、仕事は遅い、途中報告もない、等。
そのため、時々、叱責したりもしておりました。
(当時は、本当にごめんないさい。)
きっかけは、その方の別の仕事を見ていて、ふと、あることに気づいたことでした。
それに気づいてからは、その方の性格に合わせて、指示の方法を全く違うやり方に変えました。
するとすると、その方の仕事は驚くほど、確実で、きちんとしたものになりました。
とても優秀な方だったにも関わらず、上司としての指示が悪いがために、その方のパフォーマンスを劇的に下げていたわけです。
当時を思い出しても、自分の能力の低さのために、大変、失礼なことをしたなぁと赤面するばかりです。
(平成26年7月21日)
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