前回は、居宅介護支援事業所の独立採算制が成り立つことで、中立・公平制を保つための方法について、極論で考えてみました。
今回は、居宅介護支援事業所の持つ「処方権」について考えてみます。
そもそもですが、どのようなサービスであっても、
お客 →→→ お店
というのが一般的な流れですし、資本主義世界では基本なわけです。
介護の世界においては、
お店 →→→ お店(命令)
というのが「措置」の時代
お客 →→→ お店(自由契約)
というのが「介護保険制度の契約」の時代なのですが、
実際には、
お客 →→→ ケアマネ →→→ お店
という不思議な環境が出来上がってしまったのですね。
医療業界でさえ、日本ではフリーアクセスといって、どこの病医院でも自由に行けますし、病医院も受診を断ることはできません。
お客 →→→ お店
の場合は、当然ながら、
お店 →→→ お客
へとアピール(広告・広報活動)を行いますが、
介護保険制度では、
お客 →→→ ケアマネ →→→ お店
のため、
お店 →→→ ケアマネ
へのアピールしか方法がないわけです。
そのケアマネが、独立性を保てない状態で「処方権」を持っているので、これまたややこしい仕組みになっていくわけですね。
たぶん、このような複雑な仕組みは、日本に置いては、全産業界で唯一、居宅の介護業界だけなのではないかと思います。
このような複雑な仕組みも、サービスの中立性を妨げる大きな要因の一つとなってきます。
ということで、また、極論での対応を考えてみたいと思うのですが、
居宅サービスの利用のためには、
1.お店(介護事業所) →→→ お客(利用者) へのアピール
2.お客 →→→ お店 の選択
3.お店 →→→ ケアマネ に紹介(この紹介がないとケアプランに組み込めない)
4.ケアプランへの組み込み
という流れにしてはどうかなと。
こうすることで、居宅介護支援事業所が本来の「ケアプラン」業務に特化でき、「処方権」がなくなるのかな?と。
それにより、お客 ←→ お店 という、通常のサービスの流れになるのではないかなと思います。
お店(介護事業所)はしっかりとお客(利用者・ご家族)にアピールするようになりますし、サービスの質も上がるようになると思います。
何よりも、サービスの質が悪ければ、お客もいつでも止めやすくなると思いますし。
居宅介護支援事業所のチェンジもやりやすくなるかも。
ケアマネから居宅サービス事業所への営業活動も増えるために、様々な事業所に足を運ぶ機会も増え、事業所の良し悪しも、もっと見えてくるかもしれません。
サービス利用事業所に不満があってチェンジする場合も、居宅介護支援事業所からの紹介も増えてくると思います。
(ケアプランをするために紹介してもらわないといけないため。)
うーん。現在の仕組みを元に考えると、様々な弊害がありますが、この流れをベースに制度を組み替えると、案外、良い制度かも!とも思います。
大きな課題は、複数の居宅サービスが、別々のケアマネを紹介(推薦)した場合でしょうか。
このあたりは、最終的に、お客(本人)と居宅介護支援事業所の契約となりますので、利用したい居宅サービスを利用できるのであれば、特に問題はないかもですね。
この手法に、何か介護報酬(インセンティブ)がつけば、居宅介護事業所の独立採算性も成り立つのではないかなぁ・・・・とおぼろげに考えています。
こちらも、賛否両論ありますが(前回の内容より考察不足です)、制度をつくる方々には様々な手法で、より良い仕組みを検討していただければ、と願うばかりです。
(平成26年9月9日)
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