今年は、最低賃金24円上げが答申されました。
介護業界では人件費の削減を目的とした、時給月給制がまだまだ多いのが現状です。
これに裁量労働制をプラスして、最適(最小)の人員配置を目指している法人もあります。
介護業界では、月給制と時給制が、金額的にほぼ釣り合う状況のため、特に違和感なく受け入れられていますが、経営側としてはいろいろと考えていかなければなりません。
例えば、グループホーム等の規模で、職員数が常勤換算で20名とします。
月給制の場合、年次昇給1,000円/月ぐらいが現状かと思います。
時給制の場合、年次昇給10円/時とすると、10円×1日8時間×月21日=1,680円/月となります。
1,000円/月、10円/時と、どちらの昇給も、職員側からすると「少ない!」と感じるレベルかと思いますが、実は1.7倍くらいの違いになってきます。
今回、最低時給が20円以上上がるということは、職員側からすると、最低20円は上げてほしいという希望が立つのは当然です。
年次昇給20円/時とすると、20円×1日8時間×月21日=3,360円/月となります。
わずか、3,360円/月/人ですが、常勤換算で職員20人として、12ヵ月で考えると、
3,360円×20人×12ヵ月=806,400円もの「利益」が吹き飛ぶこととなります。
これは、この規模の事業所の場合、1ヶ月分以上の利益となってきます。
1平成18年の平均最低時給は673円。
平成28年の平均最低時給は822円となり、
この10年で150円(22%)の増加となっています。
にも関わらず、介護報酬はどれだけ下がったのでしょうか?
職員にとっては時給が上がることは嬉しいことですが、それは未来の安定を削っていることにも繋がることをしっかり認識する事が大切です。
まぁ、最低時給が平均3%上がるのは良いことなのですが、(介護事業の人件費率を60%とすると)それとともに介護報酬が3%の60%で、2%は増加させないと賃金反映には結びつかないということですね。
(記 平成28年7月28日)
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