先日、松山市の日常生活支援総合事業について学ばせていただきました。
今回の話は、あくまで「松山市」についてです。
結論から言いますと、とにもかくにも、摩訶不思議な事業です。
この仕組みを考えた人は、よほどのバカか、よほど頭が良いか、ということになりますが、仕組みをつくる厚生労働省のお役人の方が、前者であるとは考えにくいため、後者ということで考えていきます。
まず最初に、私、どうも勘違いをしていたのですが、介護予防については、
要支援という仕組みをなくすのではなく、
介護予防事業を介護保険から外して、日常生活支援総合事業という市町村管轄の事業に移行させる、
ということのようですね。
すなわち、要支援認定は今後も続いていくということです。
これまで自立の方のために行われていた、旧2次予防事業や、ふれあい・いきいきサロン事業等は、日常生活支援総合事業B型に組み込まれると予想されるのですが、
(間違っていたらすみません。)
なんとなんと、
利用する場合は、とりあえず「要支援認定」を受けなければならないとのこと。(松山市の場合)
Q&Aでは、事業対象者は従来の要支援者に相当する方であり、要支援者より軽度の方まで対象にすることは想定していないとのことで、基本チェックリストという仕組みが導入されますが、新規の場合は要支援認定を受けなければならないとのことです。
今現在、旧2次予防事業や、ふれあい・いきいきサロン事業等を利用している方は自立ですので、継続して利用するためには「要支援」にならなければなりません。
そんなアホな???という状況です。
介護予防デイサービスや訪問介護は、一応、現行相当のサービスとして移行されますが、1月あたりから1回あたりの報酬へと変更になります。
1回あたりになると、おそらく1ヶ所の事業所に縛られることはなくなると想定されるため、これはこれでは賛成なのですが、1回あたりの単価は約10%下がります。
これまでの介護予防は、介護事業者にとっては、
「サービスを利用してもしなくても同額の報酬がもらえる!」
ということが魅力であったのですが、利用毎の報酬となるため、ビジネスモデルは大幅に転換していかなければなりません。
ただ、多様なサービスにあたるA型、B型、C型に関しては、単価が安すぎて、まず手を上げるところは皆無に近いと考えられます。
ボランティアの人を使えば、人件費は無料または超低賃金で可能!なんていう馬鹿な発想はしていないのとは思うのですが、この単価で運営しようという方はよほど奇特な方と言わざるを得ません。
(ちなみに、松山市の介護事業所へのアンケートで「A型に取り組む予定はありますか?」という質問に対して、ほとんどの事業所が「不明」または「行わない」という回答でした。)
以上から、現在の介護容貌サービスは「現行相当のサービス」へと移行するのみとなり、A型、B型、C型のサービスは存在しませんので、要支援の方は、必然的に「現行相当のサービス」を利用することとなります。
その結果、「単価はちょっと下がったけど、結局、これまでと同じだよね」という感覚での事業運営が継続されることになります。
(仮にA型、B型、C型のサービスが存在したとしても、現状のケアマネジメントは事業所抱え込み型が多数のため、自社のためにも、利用者のためにも、わざわざ他社の単価が安い「中途半端」なサービスをプランに組み込むことは考えにくいのが現状です。)
日常生活支援総合事業は、介護保険制度から外れた市町村の独自運営となりますので、社会保障審議会介護給付費分科会の意見とは別に、単価も独自に変更していくことが可能となります。
現在の介護予防事業の単価で、市町村が独自運営することは財政的に難しくなるため、自然な流れで、今後単価は下がっていくはずです。
制度移行しても何も変わらなかったと思わせておいて、後でどんどん切り下げていく。
厚生労働省は、これを狙っているのかな?と考えています。
松山市の場合、平成29年4月より「現行相当のサービス」と「A型」がスタートする予定です。
(A型サービスが届出されるかどうかは微妙ですが。)
ちなみに、平成28年3月までに事業所の認可がおりているところは、日常生活支援総合事業は見なし指定となりますが、平成28年4月移行に認可された事業所は、再度、申請が必要とのことです。
個人的な予言ですが、日常生活支援総合事業のこの仕組み、4年後には崩壊するか全く違う制度になると考えています。
というより断言に近いですね!
介護療養病床の廃止や、老人保健施設の医療機能強化型介護老人保健施設への移行など、どれも不可能だったように、無理な制度はどうやっても無理です!
地域包括ケアなんていうのも物理的に無理です。
無理な制度を押し通そうというのは、世間の混乱を巻き起こすだけで、結局は誰も動かないと思います。
(情報不確定の段階でのコラムのため、間違いがありましたら、どんどんご指摘くださいませ。)
(記 平成28年8月26日)
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