介護報酬には、様々な「加算」があります。
例えば、誰もが知る加算では、
・処遇改善加算
・個別機能訓練加算
・栄養改善加算
・ターミナルケア加算
・特定事業所加算
・サービス提供体制強化加算
などがあります。
介護報酬ダウンの影響もあり、どの事業所もこの「加算」を算定すべく智恵を使い、体制の強化を図っています。
逆に、この「加算」によるお金と、加算を算定するために増員した人件費が逆転してしまうケースもあり、加算算定に頭を悩ませているところです。
さて、この「加算」には、歴史があります。
介護保険の世界はまだ16年ちょっとの世界ですが、それ以前より、医療保険の世界では「加算」(施設基準を含む)との戦いともいえます。
「加算」には意味合いがあります。
「加算」とは「今後はこれこれを行いなさい!」という命令的要素があります。
そして「加算」には必ず通る道があります。
1.本体報酬のわずかな減少+「加算」の創設 ⇒ 加算算定で増収
2.本体報酬の減少+「加算」 ⇒ 加算算定で元と同じ
3.本体報酬の増加+「加算」の包括化+「未実施減算」の創設 ⇒ 加算算定で元と同じ、算定しなければ減算
4.本体報酬の減少+「未実施減算」
「加算」は必ず、標準化され、包括化され、未実施減算されていきます。
これを、診療報酬、介護報酬による制度誘導といいます。
本来ならば、医療や介護サービスの利用者に「○○してください」「○○してはダメですよ」というのが筋なのですが、これでは認知されにくいため、医療報酬や介護報酬に利用制限を設けて、医療機関や介護事業者に誘導してもらう、という仕組みです。
よく、経営者が「梯子を外された!」と言うのですが、これは間違いです。
「早めに取り組んだ人に初期ボーナスが出ていた」というのが正解です。
すなわち、上記の加算は、
・介護職の給料を上げなさい!(人件費率を上げなさい)
・リハビリや栄養改善をしなさい!
・介護福祉士や主任ケアマネなど、上位資格者(研修者)を揃えなさい!
・看取りをしなさい!
ということを世の中に伝えているわけです。
そして、介護事業者には、早くこれらを標準で行えるようになりなさい!
と伝えているわけです。
メディカサイトのトップページでは、
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毎日の介護業界のニュースや、社会保障審議会介護給付費分科会の情報を掲載させていただいております。
上記の視点で、これらのニュースや会議の内容を見ていただくと、「加算」の意味が本当によくわかってきます。
「加算」は、必ず「行っていて当たり前」という仕組みになってきます。
自分たちの事業所はどこに向かっていくのか?
どの「加算」を取得し、どの「加算」を切り捨てていくのか?
を考えて、日々の介護事業を行っていかなければなりません。
選んだ「加算」を取得するために、どのような取組みを行っていくのか?
これが、介護事業所の「特徴」となっていくわけです。
戦略なくして「特徴」なしですよ!
最後にもう1回。
「加算」は必ず、標準化され、包括化され、未実施減算されていきます!!
(記 平成28年10月10日)
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