2015.04.27今月のメディカサイト特集

『マンガ「ヘルプマン!」から現代介護の問題を考える』

5月16日、愛媛県社会福祉士会 定期総会が行われました。
特別企画として今回は、介護問題に踏み込んだマンガ「ヘルプマン!」の作者である、くさか里樹さんが登場。
広島国際大学の八木裕子さん、愛媛県社会福祉士会の島崎義弘さんとともに、「ヘルプマン!」を通して現代介護の問題を考えるトークセッションが繰り広げられました。

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くさか 里樹さん
高知県高岡郡日高村出身。
昭和55年「ひとつちがいのさしすせそ」にてデビュー。
その後、「N.G.(ノーグッド)」「桜花らんまん」「永遠の都」「あたしが伝説」「ケイリン野郎」など多数連載。「ヘルプマン!」は、平成15年より講談社「イブニングKC」にて連載中。

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八木 裕子さん
広島国際大学 医療福祉学部 医療福祉学科 教員

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島崎 義弘さん
愛媛県社会福祉士会

 


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一人の高校生が、介護士として日々成長していく様子を描く。
現代の介護問題の過酷さや、介護施設での問題点など深刻なテーマを取り上げ、
主人公が悪戦苦闘しながらも明るく真正面から問題に取り組んでいく。
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くさかさんは、高知県出身。高知県は、4人に1人が高齢者という、全国で見ても高齢者の割合が高い県とされています。昔は、「町の人が年を取れば、まわりの人が世話をするのが当然」でした。
しかし今は、「介護」が“特別なこと”になってきています。
人が年を取るということは、自然のサイクルなのに…なぜ? 「ヘルプマン!」はそんな疑問からスタートしました。
くさかさんは介護を、「濃い人間関係のひとつ」と言います。
ぶつかったり、悩んだり、分かり合えたり…介護者と高齢者の間にはたくさんの感情が生まれます。
だから、「介護」というよりはラブストーリーを描いている感覚なのだとか。
「私は、福祉業界に関して素人。だから、介護に関して答えを出そうとはしていません。
このマンガを読んでプロの人が色々と検討できればよいなと思っています」。

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「ヘルプマン!」には、過激なシーンも多数登場します。
くさかさんは、このようなシーンを、よりリアルに、より衝撃的に描くようにしています。例えば、排泄物を描くときは、土や食材などを混ぜたものを作り、それをスケッチ。
高齢者に関しては地元のお年寄りをモデルにしたり、介護のシーンはスタッフに実際の動きを見せてもらったり…とにかくリアリティを追求しています。
そこまでする理由は、「臨場感を出す」ためというより、「介護者の気持ちを伝える」ため。
人間のなかにある弱さや「負」の部分、それに対する葛藤…介護者のリアルな感情が伝わってきます。

深刻で、難しいテーマのため、ギリギリの精神状態でマンガを描いているくさかさん。
ストレスをためないように、カラオケボックスで歌いながらや、事務所でドラマのDVDを観ながら描くことも多いそうです。
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介護士には女性が多いというイメージがありますが、「ヘルプマン!」の主人公は2人とも男性。
一人は何をしでかすか分からないような問題児です。
この設定には、「介護から最も遠い人物を主人公にすることによって、介護が身近にあることを感じて欲しい」という、願いがこもっています。
一方、もう一人の幼なじみは、しっかり者で頼れる存在。複雑な介護世界の中で、全体を繋ぐ役目を担っています。

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マンガは自由な表現媒体。「これを描いちゃいけない」というルールはありません。
「ヘルプマン!」では、テキストではなかなか書けず、どう伝えればいいか分からないタブーの部分もあえて切り込んで描いています。
例えば、くさかさんが最も気合いを入れて描いた中のひとつという4巻では、「高齢者の性」の問題を扱っています。
「せっかく始めたのだから、介護に関わることはすべて網羅していきたい」。
さまざまな角度から介護を取り上げ、それに対する問題を投げかけています。
【 「ヘルプマン!」で扱ってきたテーマ 】
1巻 介護保険制度
2巻 在宅痴呆介護
3巻 介護虐待
4巻 高齢者性問題
5・6・7巻 介護支援専門員
8巻 ケアギバー
9・10巻 介護福祉学生
※9巻の巻末に、八木裕子さんのコラムが載っています。
11・12巻 認知症編

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今は、「当たり前」のことが麻痺している時代。
人間として考えると「当たり前」のことが、介護の法律や制度で考えると「はみ出している」とされてしまいます。
ヘルプマン!の主人公は、はみ出しながらも、「当たり前」を実践しています。
主人公のようにプライドを持って、生き生きと働いている若者は、じつはたくさんいると思います。
暗い部分ばかりを報道されがちな介護業界ですが、こういう明るく前向きな部分にスポットを当てていくことで、
介護の世界ももっと良くなっていくのではないでしょうか。
若い人たちは、もっとおもしろいことをやって、介護のイメージをひっくり返してほしい。
地域の人も、友人も…誰もが介護に何らかの形で関わって、すべての人が「ヘルプマン」に。
そうやって、日本が介護天国になればいいですね。
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【 愛媛県社会福祉士会 】
日本社会福祉士会愛媛県支部として、1993年に結成。
医療、老人、障害、自動等のさまざまな福祉関連職で活躍している会員が、
社会福祉士の倫理を確立し、専門的技能を研鑽し、
社会福祉士の資質と社会的地位の向上に努めるとともに、
社会福祉の援助を必要とする人々の生活と権利の擁護及び社会福祉の
増進に寄与することを目的としています。
〒791-8012
愛媛県松山市姫原2丁目3-21
NPO法人家族支援フォーラム内
TEL : 089-922-1937
FAX : 089-924-8992
詳しくはコチラ >>> http://www.h3.dion.ne.jp/~eacsw04/

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