2015.05.14今月のメディカサイト特集

『みんないきいき!スマート・エイジング!~健やかな脳を保つために~』

去る平成23年9月11日(日)、愛媛県生涯学習センターにて愛媛学習療法研究会が開催されました。
今回の講師は、東京医科歯科大学大学院教授・泰羅雅登(たいら・まさと)氏。
いくつになっても自分らしく、夢や目標を持って尊厳のある人生を歩むためのヒントをいただきました。
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【 講師プロフィール 】
泰羅 雅登(たいら・まさと) 氏

1954年、三重県生まれ。東京医科歯科大学卒業。同大学大学院歯学研究科博士課程修了。日本大学大学院教授を経て、現在、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授。学習療法研究会理事。認知神経科学の研究に取り組む。写真などの平面像を立体的に感じさせる脳の働きを世界ではじめて解明し、大きな注目を集めた。脳科学をテーマにした人気ドラマ『MR.BRAIN(ミスターブレイン)』の監修も手がけた。
<主な著書>
『脳を歩わーアップしたい大人のための『脳のなんでも小事典』(共著:技術評論社)、『記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?』(共著:ダイヤモンド社))、『オトナのための脳授業』(共著:扶桑社)、『読み聞かせは心の脳に届く』(くもん出版)、『脳を鍛えて頭を良くする一仕組みがわかれば実力は伸びる』(ライオン社)など。

 

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脳には3つの変化があります。

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1.育つことによる変化
2.年をとることによる変化
3.頭を使うことによる変化

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「育つことによる変化」は、オギャーと産まれた瞬間から、成長していく過程によって生じる変化です。
脳の重さは産まれた時には400g、9~10歳で大人と同じ1,300g程度になります。
しかし、脳の重さと頭の良し悪しは関係ありません。
そもそも、産まれたときから脳細胞の数は決まってしまっているのです。
大切なのは、頭のなかにある神経繊維を“絡み合わせ、太くしていくこと”なのです。

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次に「年をとることによる変化」について。
脳も体の一部です。老化するのは当たり前。
10代、40代、70代の脳の様子を見ていただくと分かるように、神経細胞が存在している部位・灰白質は萎縮してゆき、かわりに神経細胞のない部位・白質が増えていきます。

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最後に、「頭を使うことによる変化」について。
頭を使うと、シナプスの動きが変化して、神経細胞同士のつながりが強化されます。
これは年をとっても同じこと。
逆に、脳は使わなければ元に戻ってしまいます。
脳を健やかに保ためには「脳を使うこと」が大切なのです!

 

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先ほど述べた脳の3つの変化をまとめると・・・
● 年齢に比例して、脳細胞が減っていくのは仕方がないこと。
● しかし、ポテンシャルは持っている。使うと強化される。

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つまり、脳を使い続けること、「脳にラクをさせない!」ことが大切なのです。
では、脳にラクをさせないためには、どうすればよいのでしょう?

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人間の脳には、コミュニケーションや意欲、自発性などを司る・・・つまり、人を人たらしめるための指揮者の役割を果たす「前頭前野」という部位があります。
認知症のほとんどは、この「前頭前野」の機能に関係があると言われています。
では、この「前頭前野」を使うためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?
それは、簡単な読み・書き・計算・音読などなのです。

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左のスライドを見てください。
「書いて」覚えるのと「見て」覚える際の脳の動きは、
「書いて」覚えるときの方が、脳が使われているということがわかります。

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音読の効果も同様です。
「黙読」よりも、声に出して読む「音読」の方が、明らかに脳が使われています。

 

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学習療法は、この「前頭前野」の働きを意識した仕組みになっています。

学習療法に関してまとめると・・・

● 学習療法とは…●
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音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、
学習者と学習スタッフがコミュニケーションをとりながら行うことにより、
学習者の認知機能やコミュニケーション機能、
身辺自立機能などの前頭前野機能の保持・改善をはかるもの。

ポイントは、学習スタッフがコミュニケーションをとりながら行うこと。
学習療法は、学力の向上を目指すためのものや教材を与えて勝手にやらせるものではありません。
そうすることで、学習者のコミュニケーション機能のアップのほか、スタッフにも変化が出て来ます。

【 関わるスタッフの変化 】
・ 相手をよく見るようになる
・ 学習者の可能性に気づく→喜び、やる気
・ ほめてあげる→相手の喜び
・ コミュニケーションの深まり
・ さらに注意する

 

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最近では、介護施設での取り組み以外に、地域での『脳の健康教室』(脳ウェルネス)が広がってきています。
この活動は、認知症の予防にはもちろん、お年寄りの社会参加にもつながっています。
現在、松山市では、松山市社会福祉協議会のバックアップを受け、石井東地区社会福祉協議会にて、13ヶ所のふれあい・いきいきサロンのうち、3ヶ所のサロンで実践を始めます。
松山市のボランティア制度も利用しながら、地域の人が関わりやすい環境を築いています。
>> http://www.matsuyama-wel.jp/
この活動は平成23年11月~3月までの5ヶ月を1クールとし、成果が出れば他の地区にも広げていく予定です。

■ 石井地区では、特別養護老人ホーム和光苑がバックアップ。サポーターの養成研修や会場の提供などをお手伝いしています(平成23年9月21日 サポーター養成研修)。
過剰な介入をせずに、地域のサポーターを育成していく方針です。

■ また、平成23年12月以降には、小野地区のサロンでも『脳の健康教室』(脳ウェルネス)を実施する予定。
こちらは、特別養護老人ホーム 梅本の里がバックアップしています。

これまで、『認知症』への取組みはあっても、『介護予防』に対する取組みはあまりありませんでした。
「脳の健康教室」(脳ウェルネス)を通じて、お年寄りがいくつになっても身も心も元気な自分でいられる地域づくりができるといいですね。

脳ウェルネス(6ヶ月間コース 週1回 読み書きやコミュニケーション)について
>> http://www.gakushu-ryoho.jp/whats/report2.html

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