2015.05.29今月のメディカサイト特集

『 障害者支援事業所や就業事業所への橋渡し「”働きたい”障害者のための心と体の準備室」 』

2013年4月、40代~60代の若い世代で障害を持った方を対象とした新しい事業所ができました。
事業所のテーマは、「障害者支援事業所や就業事業所の橋渡し」。
一体どのようなことなのでしょうか。
お話を伺ってきました。


 

 

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セルフ-クリエイト くるみ
取締役部長 理学療法士
公原 央智さん

 

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はじまりは、4人のメンバーで2011年の3月に立ち上げた「(株)クオリア 訪問看護ステーションくるみ」。
そこで出会った利用者さんは、働き盛りの年代の方が多く、働きたい気持ちを持っているにも関わらず、就業はとても困難という現実に直面しました。

 

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例えば、脳梗塞や脳出血で半身麻痺がある方は、介護保険が適応され、デイサービスを使うことができます。
デイサービスには、介護職や看護師、理学療法士などがいますので、体を見てもらいながら安心して通うことができます。
しかし、あくまで高齢者向けの施設ですので、まだ40代?50代の方、気持ちが若い人にとっては居場所がなくなってしまうことも多いのです。
そしてデイサービスには、就労を支援する機能がありません。
一方、障害者就労支援施設に行けば、就労に向けた相談や準備をすることができます。
しかし、ここでは専門的に体を見てくれる人がいないのです。

 

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そこで私たちは、就労支援施設や就業事業所などの橋渡しとなるべく、仕事に就くための練習をしながら、リハビリができるデイサービスを立ち上げることにしました。
言うなれば、「働く前に、心と体を準備する場所」です。
就労するために必要な体力や集中力を付け、基礎部分の底上げを行うことを中心に、生きがいをみつけます。
「働くこと」を目的にしていない方の利用もOK!
外に出るきっかけづくりができればと思っています。

 

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利用者さんは、気持ちの若い方ばかり。
その気持ちを損なわないように、空間作りには気を配りました。
例えば、スタッフは全員スーツで勤務します。
そして、使用するパソコンもできるだけ最新でかっこいいものに。
これは、“オフィス感”を出すことによって、モチベーションを上げ、働くシミュレーションをしていただくためです。
休憩室は、カフェの雰囲気でインテリアにもこだわりました。
ここで昼食をとってもらうのですが、特に女性に人気です!

 

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大人数の施設では集団行動で過ごすことが多いと思うのですが、セルフクリエイトくるみの定員は10名と少人数なので、個々にスケジュールを決めていただき、それをスタッフがサポートしています。
「携帯の操作を教えてほしい」という要望があればレクチャーしますし、「お買い物に行きたい!」と言われれば、おでかけの計画を立てます。
そして、ただ行動予定を立てるだけではなく、それぞれ目標(テーマ)を作っていただくのも大きな特徴です。
「パソコンをマスターして、仕事に就く」ことを目標とされている方もいますし、テーマをつくって達成していくという行程そのものに生きがいを感じてくださっている方もいます。


【 実際に、利用者さんの活動をのぞいてみました! 】

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Aさんは、今年の4月から週一ペースで通っています。
Aさんの活動テーマは「年賀状をパソコンでつくれるようになる」です。
どうやら、奥様に熱望されて決めたテーマのようです。
パソコンに触るのは初めてで、薬の影響で眠くなってしまうことも多いのですが、スタッフのみなさんに教えてもらいながら、少しずつ作業ができるようになってきたそうです。

 

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Bさんは若年性アルツハイマーのため、短期で起こったことを記憶することが困難です。
そのため、「自宅で日記を付けられるようになること」を目標に設定し、毎日日記を付ける事にしました。
一から書くのは難しいので、ある程度まで骨組みを用意し(今日食べたもの、したことなど)、空白を埋めていくような形で取り組んでいただきます。

 

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視床出血を煩っているCさんは、リハビリのためにこちらへ通っています。
目標は、「1ヶ月で6000歩歩く」です。
ひとりだと、くじけてしまいそうですが、「ここには仲間もスタッフも居るので、続けられる」と言っていました。

 

photoD
別室で、リハビリを受けているDさんの様子です。
今までは、リハビリをするために大きな施設通っていたそうですが、流れ作業のように対応されるのが気になっていたようです。
「ここではじっくり一人に向き合ってくれるのが嬉しい」と喜んでいました。
居心地のよい空間でリハビリが受けられるのもポイントで、「季節によってインテリアが変わるのが、またいい!」と言われていました。

 

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スーツ姿のスタッフに見守られながら、黙々と最新型のパソコンに向かっている利用者さん・・・。
この光景は、従来の介護施設ではなく、まさにひとつのオフィスでした。
利用者さんが使っている資料は、くるみのスタッフがそれぞれに合わせて手作りしたもの。
若年性アルツハイマーの利用者さんのために、利用者さんが通っていた大学の情報を調べて、問題集をつくったり、パソコンの基礎が学べる穴埋め問題をつくったりetc・・・。
さまざまな工夫を凝らしながら、利用者さんの目標達成をサポートされていました。
今までになかった、新しい介護のかたち。
これから、もっとたくさんの方に知っていただき、利用者が増え、さらに就業者が増えるといいなぁと思いました。

■株式会社クオリア
セルフ-クリエイト くるみ
http://www.medica-site.com/shisetsu_detail.php?recid=785

<取材協力>
社会福祉法人 愛媛県社会福祉事業団
えひめ障害者就業・生活支援センター
http://e-shugyo.net/

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