2015.05.29今月のメディカサイト特集

『どうなる!?介護福祉資格の再構築』

めまぐるしく変わる介護業界の制度。現在、介護福祉士資格取得方法等が見直され、徐々に仕組みが変わりつつあります。
改正されることによって変わることは?
介護福祉士会が目指すものとは!?
メディカサイト社長が、愛媛県福祉士会会長にインタビュー。

 


 

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介護福祉士国家資格の取得方法は、現在次のいずれかに該当する方となっています。
1. 介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業された方
2. 指定された福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設等を卒業した後、介護福祉士養成施設
(1年以 上)を卒業された方
3. 介護等の業務に3年以上従事した経験を有し、国家試験に合格した方
4. 福祉系高等学校を指定された教科目・単位数を修めて卒業し、国家試験に合格した方

第28年度(第29回)の試験からは、以下の点が変更になります。
● 実務経験ルートは、実務経験3年以上かつ実務者研修を修了した方が受験資格になります。(実務者
研修が必須化されるため、介護技術講習はなくなります。)
● 養成施設において、必要な知識及び技能を修得した方も、国家試験の受験が必要になります。

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この変更は、当初、平成27年度(第28回)試験から実施される予定でしたが、平成26年6月25日に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が公布され、実施が1年延期(平成28年度(第29回)試験から実施)されます。
養成校の国家試験要受験につきましては延期となり、時期も未定です。
政治の影響や法律の改正等の関係で、今後の流れがかわってくることもあります。

 
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介護職員初任者研修課程のカリキュラムは130時間、
介護職員実務者研修課程のカリキュラムは450時間です。
介護職員実務者研修を受けるにあたって、介護職員初任者研修受講者は320時間、旧ヘルパー1級の取得者は95時間、旧ヘルパー2級の取得者は320時間、旧ヘルパー3級の取得者は420時間の研修が免除されます。
介護職員実務者研修は、今後介護福祉士の国家試験を受験するための必須研修となりますので、とても大切な研修となります。

 

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実務者研修導入の目的は、実務では習得しにくい体系的な医学知識、制度の知識、介護過程の展開、認知症などについて学ぶ資格の仕組みをつくり、質の高い介護福祉士の育成のためです。
また、介護福祉士の国家資格を目指す全ての方が学ぶ環境を経て受験する仕組みとすることで、社会的地位の確立を更に強めて行くことが大きな目的の一つです。

しかしながら、今後100万人の介護労働者が必要と言われ、EPA(経済連携協定)の導入や外国人技能実習制度導入案がでており、質の向上と、人材確保という大きな課題を抱えております。

 

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介護福祉士の今後についてここで多くのことを語ることは難しいのですが、2007年に「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部改正により、定義規定、義務規定、資格取得方法の見直しなどが行われました。その中で、介護福祉士はより高度な知識・技術と高い倫理性が求められるようになりました。
このような中、私たち日本介護福祉士会は職業倫理の向上や専門性の向上、質の向上に努め、介護福祉士の専門性の確立、社会的評価の確立に取り組んでまいりました。
しかしながら、介護福祉士という国家資格が社会的に高い評価をうけ魅力ある職種と世間に認められるには、まだまだ時間が必要だと思います。
これは、一部メディア等のネガティブなイメージの先行によるものもあるのではと感じているところです。
現在介護福祉士の有資格者数は、128万人を超えています。その中で、公益社団法人日本介護福祉士会に入会している人は、全体の3%程度でしかありません。
これは私たち役員の入会促進への力不足を強く感じているところではありますが、時として介護福祉士の地位向上のためには政治力が必要です。
今、国民の1%が介護職と言われています。その中で、介護福祉士の方が全てとは申しませんが、大多数の方が職能団体へ加入し、組織としても基盤を強化していくことで、国政へ向けてのメッセージも強く発信していけるのではないかと考えます。
介護福祉士会においては、「介護福祉士のあるべき姿」を大切にしています。
人に寄り添った介護ができるよう、専門知識、専門技術を高めていかなければなりません。
そのために、介護福祉士会においても、生涯研修のシラバスを構築し、多様な研修会を全国はもちろん、愛媛(支部)においても実施しております。
他県では介護福祉士初任者研修に続くスキルアップの研修「ファーストステップ研修」もスタートしていますが、愛媛ではまだ実施しておりません。
これから県内にも、研修実施箇所が増え、ファーストステップ研修にも取り組んでいければと考えています。
また、認定介護福祉士制度構築に向けて現在取り組んでいるところです。この認定介護福祉士につきましては、あらためてメディカサイトさんのご協力を得てこのような場所でご紹介させていただければ幸いです(笑)

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現在、「サービス提供体制強化加算」において、介護福祉士を一定の割合以上配置すれば、加算をいただけるようになり、来年度の報酬改定では介護福祉士の配置がより一層促進されるよう、サービス提供体制強化加算の要件については、新たに介護福祉士の配置割合がより高い状況を評価するための区分を創設されるようになります。

また、訪問介護事業においては、訪問介護員2級課程修了者であるサービス提供責任者に係る減算割合を引き上げることとなります。
今後、介護福祉士の配置が、介護報酬に結びついていくことにより、名称独占の国家資格が、実務的に業務独占の国家資格になることを目指していきたいと思います。

 

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平成24年4月から「社会福祉士法及び介護福祉士法」が一部改正され、介護福祉士(条件あり)及び一定の研修を受けた介護職員等においては、医療や看護との連携による安全確保が図られていること等、一定の条件の下で「喀痰吸引」や「経管栄養」の一部行為を実施できることになりました。(行政への登録手続きが必要。)

しかし、医療行為等を介護福祉士及び介護職員が行うことを介護福祉士会としては是としておらず、どちらかと言えば危惧している立場です。
ですが、近年における医療・介護のあり方に関する変遷からみれば時代に応じた対応をしていくことも職能団体・専門職の立場としては必要なことと考えています。
医療行為等はとても責任が重い行為であり業務です。
医療・介護・福祉の現場の中で、医師の役割、看護師の役割、介護福祉士の役割を明確にして、連携の中で協働していくことが本来の形であると考えます。

 

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介護福祉士の担うべき役割、すなわち専門性の一つとして、認知症対応は必要だと思います。
新聞やニュース等でも報道されていますが、認知症の高齢者は今後、ますます増えてきます。
ただ、現時点において、介護福祉士の資格を持つすべての人が、認知症対応の専門家であるといえるかというと、答えはノーだと思います。
だからこそ、介護福祉士のレベルを上げるため、資格取得のレベルを上げたり、資格取得後の様々な研修を受け続けていくことが大切だと思います。
近い将来、介護福祉士または専門の研修を受けた者・・・という記載に変わることを願って、質の向上に取り組み続けたいと思います。

 

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医師・薬剤師、看護師などと比べ、業務独占の業務ではないため専門性が伝わりにくい介護福祉士。
スキルアップの仕組みづくりのひとつとして研修制度が見直されていますが、敷居が上がることによって人員の確保が難しくなるケースもあり、まだまだ見直しが続きそうです。
介護福祉士の魅力をどうやって伝えていくか、努力している人をどうやって評価していくか、課題は山積みですが、誇りを持って権利を勝ち取っていくためには、声を積み重ね、よりよい方向に進んでいけるよう、制度を整備していくしかありません。
また、しかるべき地位を確立させて「ここは、介護福祉士じゃないと!」と言われるようなシーンがたくさん出てくる未来になるように・・・わたくしたちは、介護福祉士会の入会促進や、スキルアップ研修の開催など、できるところから進んでいくことが大切なのかもしれません。

 

 

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