2019.04.02今月のメディカサイト特集

平成30年度愛媛県若年性認知症支援コーディネーターセミナーを終えて・・・

平成30年度愛媛県若年性認知症支援コーディネーターセミナー

平成29年12月にスタートした愛媛県若年性認知症支援コーディネーター事業。
今年度は、相談事例への対応や事業説明を目的とした講演会のほか、主に専門職を対象に普及・理解促進のために『就労』(7月・松山)『前頭側頭葉変性症』(10月・今治)『介護家族』(12月・西予)のテーマで研修会を開催しました。

そして、改めて認知症を発症したことによる心の一端をうかがい、多くの方に自分にできることを考えていただきたい…
ということを願って平成31年3月10日(日)には全体セミナーを開催しました。

お話しいただいたのは、中学校の国語科の教諭を現在は休職しておられる 横田 宏之 さん(53歳)と、横田さんが利用されているデイサービスkumikiの管理者 藤田 浩司 さん(44歳)。
お二人をお招きするきっかけは、NHKでのおはよう日本の放送で横田さんが特集されていたからです。

横田さんの生の思いを愛媛の皆さんの一人でも多くの方に届けたい!!という思いで半年前から少しずつ準備し実現しました。
横田さん、飛行機が大の苦手!お住いの奈良から松山まで、陸路5時間もかけてご一行は愛媛までお越しくださいました。

横田さんと藤田さんのご都合にあわせて3月10日に設定しましたが、会場で押さえられたのは最大収容700人の松山市民会館中ホール。
県の医師会をはじめ、認知症施策推進委員が所属する職能団体はじめ多くの団体に快く後援いただき、オール愛媛の体制を作ることができ、小雨降る会場には、350人を超す多くの方にご参加いただき、第1幕が開きました。

高校の時に落研で「飛鳥亭みやび」の名で、素人名人会(毎日放送)に8回出場し、すべて「名人賞」を獲得したという横田さんの前座と称し登場した藤田さん。

「危ないといっていろいろと制限をすることが、よい介護といえるのか!」「認知症になってもできることはたくさんある!」という話に、場を温めるどころか会場はにわかに熱気に包まれました。

つづく横田さんは、さすが国語科教師。
丁寧に言葉を選び、落研で磨いた話術で会場を沸かせ、また暖かい雰囲気に包みこんでくださいました。

横田さんの言葉はまさに生徒に温かいまなざしを注ぐ一方、認知症を患ったことで大好きな生徒たちを担任としてこの3月に送り出すことができない、到底言葉では表しきることのできない無念な思いを持った横田先生の姿がそこにあり、多くの方が目頭を赤くし、心打たれたのではないでしょうか。

そして、横田さん藤田さんお二方の息がつねにぴったりで、途中お互いがつっこみを入れつつも、最後まで横田さんは自分自身が伝えたい思いをしっかりと語って下さいました。

もう一度、教師として教壇に立ちたい・・・という思いはあるが・・・できなくなってしまった悔しさ・・・そして、今できることは何か!?
当事者としての思いを発信し少しでも多くの人に理解してもらうこと、それが何かの形でムーブメントに変わる!!と力強く語ってくれました。


 

第二幕は愛媛県内でいろいろな形で若年性認知症支援にかかわりのある方に登壇いただいてのパネルディスカッションでした。

若年性認知症の奥様を介護されている、西田 宗弘 さんのお話からスタートしました。
西田さんからは、周囲の理解を得ながら、奥様が好きなこと、できることを楽しめるように工夫している日々について語って下さいました。
西田さん自身、介護をしていく中でのいろいろな葛藤はありながらも、夫婦で前向きに捉え、いろいろなことにチャレンジしている様子がとても印象的でした。

続いては新居浜市地域包括支援センター協力機関アソカ園の 田中 映 さんからのお話。
田中さんは若年性認知症の方の就労継続に携わった経験から、支援者としての思いを語って下さいました。
認知症になっても、その人らしさを忘れることなく、自分で選んで、自分で決めることの大切さを語って頂き、その思いに丁寧に寄り添った事例でした。

同じ支援者として、田中さんの熱心な姿勢にとても刺激を受けることができました。

最後は、中予地区の認知症疾患医療センター砥部病院のセンター長・中城 有喜 先生からのお話。
テーマは「あなたとともにわたしたちにできること」

中城先生からは、認知症疾患医療センターとしての取り組みや、若年性認知症当事者発信の歴史や現状、認知症カフェやRUN伴などの活動についてお話して頂きました。
愛媛県内の認知症の取り組みについてはまさにパイオニアでもある中城先生!!
これからも、様々な取り組みの輪が広がって欲しいと思います。

 


 

セミナーのアンケートではこのような声が集まっています。

・横田様からの声が聞けて感動しました。認知症の症状に対応しながらの発表という姿がすごく現実的で生々しくてよりご本人様の言葉に重みと深みを与えてくれたように思います。

・NHKの朝のニュースで横田さんをみて、ご本人のお話が聴けるのを楽しみにしていました。本当にありがとうございました。

・当事者の方から聞けた「不安」という言葉が印象に残っています。横田さんと藤田さんの信頼関係が深いな、と感じました。その感じがとても勉強になりました。仲間がいること、誰かと繋がっていることが一番の支えで不安を軽減できるのだと思いました。
当事者のお話を聞かせて頂いて、今関わっている利用者様の心の苦しい部分の一部を感じることができて、ありがたかったです。そこで、じゃあ自分がどう動けて、何ができるのかともう一度考える機会を頂いたように思います。

・若年性認知症の方の今後の受け止め方など課題はたくさんあると思います。しかし、地域全体で認知症への理解を進め、認知症の方がその人らしく生活できる地域づくりをしていくことが必要だと感じました。実体験の話をきけてとても深く考えることができて良かったです。

・若年性認知症に対して、少しは理解できたように思います。今日のセミナーに来て、良かったと思います。今後自分にもできること、考えさせられました。ありがとうございます。

そのほか、沢山のご意見本当にありがとうございました。
多くの方に、いろいろなことを感じとって頂くことができたのではと考えております。

 


 

また、今回のセミナーでは様々な職種の職能団体の皆様に後援して頂くことができました。
心より御礼を申し上げます。
今後も、当事者の生の声を多くの皆様のお届けできるよう、若年性認知症についての理解促進を進めて参りたいと思います。
そして、この活動を通して、認知症についての理解が深まり、『認知症であることを普通に公言できるまち・愛媛』を目指し、今後も活動をしていきたと思っております。

今年度も、引き続き様々な企画で研修やセミナーを県内各地で開催し、また事例検討会や交流会についても開催していく予定です。
今後とも宜しくお願い致します。

 


愛媛県若年性認知症支援コーディネーター
横田 麻弥・門屋 征洋・谷向 知

 

 

 

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