2015.04.21今月のメディカサイト特集

『働くための力をつける』

精神障害者能力開発訓練施設
ジョブサポートえひめ
サポートスタッフ
山崎 真里 さん

2005年6月より、精神障害者の就労支援を目的に設立された、
精神障害者能力開発訓練施設 ジョブサポートえひめ。
訓練修了生も誕生し、県内の様々な企業で活躍されています。
福祉施設も、彼らの就労場所の一つです。
精神障害のある方が、2年間の訓練を通じて、基本的な労働習慣を習得し、
障害とうまくつきあいながら就職を目指しています。
また、精神障害についての正しい知識を企業側が持つことにより、
就労場所が増えていくのではないかと思います。
今回は、就労訓練、就労支援を行っている、
ジョブサポートえひめのサポートスタッフ 山崎 真里 さんにお話を伺いました。

【 ジョブサポートえひめとは? 】

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ジョブサポートえひめは、社団法人 愛媛県精神障害者福祉会連合会(略称:ひめかれん)の運営する障害者能力開発訓練施設です。
「障害があっても働きたい」というニーズに対応するひとつの試みとして、愛媛県から委託を受け、2005年6月にスタートいたしました。
身体障害・知的障害・精神障害の中で、精神障害というのは、見た目にわかりにくい障害となります。
精神障害のある方は、服用薬の影響で疲れやすく、集中力や体力が持続しにくかったりします。
見た目にわかりにくいため、障害が理解されにくく、生活面でも不自由を感じています。
ジョブサポートえひめは、精神障害のある方を訓練生として受け入れ、「働く生活」を体験しながら、体力と自信の回復を目指して、適性と能力に応じた一般就労を支援しています。

【 現在、行われている取り組みについて 】

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ジョブサポートえひめでの訓練内容は以下の通りです。
訓練期間: 2年間
訓練内容: ①食品加工・厨房(昼食弁当の提供)
②販売実務(パソコンの技能習得)
定員: 10名/1年(年1回募集)
お弁当作りは、月・水・金が調理・配達、火・木が下準備の日となっています。
月・水・金の午後に買出しに行き、「自分達で食材を選ぶ」訓練を行います。
火・木は下準備です。
翌日の調理に備えて、野菜を切り分けたり、事前準備を行ったりします。
月・水・金は朝から調理の日です。
調理班と盛り付け班に分かれて作業を行います。
お弁当作りは、ただ「商品をつくる」というだけでなく、
「商品に何が求められて、それを提供する」ことを
考えられる良い機会となっています。
お弁当ができると、スタッフとともに配達を行います。
昼食時間が過ぎると、お弁当箱の回収に行き、回収した食器の洗浄を行います。また買出に行ったり、資材管理をしたりというのが、一連の流れとなります。
お弁当作りは、単調な作業のようですが、日々のメニューが変わるため、実は、毎日が新しい仕事ばかりということになります。
そのため、業務を覚えるのが大変になりますが、総合的な訓練としてはよいのではないかと思います。
お弁当は、東雲大学や松山大学、医療技術大学などの学校関係、保健所、地域の企業などに届けています。
10時までに電話注文を取り、1食400円で提供させていただいております。
その他にも、職場マナー講座や、調理を行う中で栄養について、障害とうまくつきあうための福祉サービスについて、療養のしかたについてなどの講座も行っています。
月に数回程度実施しているのが、「セルフヘルプミーティング」です。
同じ障害や悩みを抱える仲間同士で、体験や悩みなどを話し合うことで、自己を開放し、自分の抱える問題を整理する機会となります。
さらに「話す」「聞く」という練習にもなります。

【 就労支援について 】

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1年目の施設内作業で訓練した後、
2年目には実際に職場での実習となります。
4月~9月は、「体験的職場実習」となっています。
週に3~4日、受け入れ企業に出向いて、半日程の実習を行います。
この実習で、それぞれの適性を一緒に考え、就職に向けてマッチングを行います。
10月~3月は、「就労を目指した職場実習」となり、本格的な職場実習を行い、その中で企業と訓練生とマッチングをしていきます。
現場での技術の習得だけでなく、援助の求め方などを学んでいきます。
このような職場実習を経て、訓練の修了となります。
第1期生の就職状況は、以下の通りです。

・農業会社 (契約社員8時間2名)
・ホテルのレストラン厨房 (1名パート4時間)
・スーパーの食料品コーナー (4時間1名、7時間1名)
・日本郵政公社四国支社 (事務7時間1名、仕分け7時間1名)
・特別養護老人ホーム (清掃5時間1名)
・他施設で訓練継続 1名
・自宅にて療養中 1名
※ 実習先企業は、随時、募集しております。

 

【 受け入れ施設からのひとこと 】

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高齢者総合福祉施設 梅本の里
施設長 杉本 太一 さん

現在、1名の修了生の方に、清掃業務をお願いしています。
年度末に清掃業務の見直しを行っていた際に、ジョブサポートえひめさんよりお話をいただきました。

私たちにとって、精神障害のある方を受け入れるということは初めての経験です。
修了生が頑張っている姿に刺激を受け、スタッフももっと頑張ります。
そして、その頑張りが、お年寄りの皆さんにとって、良い介護サービスにつながるのではないかと思います。

また、お年寄りの皆さんは、認知症や体の障害など、様々な悩みを抱えておられます。
修了生の受け入れにより、スタッフにとって新しい経験となり、その経験が様々な悩みを持つお年寄りへの対応の幅を広げていくのではないかと思います。

今後の課題としては、修了生が抱えている悩み事の相談をジョブサポートえひめさんに頼っているのですが、私たちの施設内にも担当窓口をつくり、修了生の体力面や金銭面での不安を軽減できる環境を作っていきたいと思います。

【 修了生からのひとこと 】

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■ジョブサポートえひめについて

(屋外での仕事は特に無理だと思っていたので)
自分が何とかできるような仕事を見つけてくれてよかったです。
■現在の想い

しんどいですが、何とかやれています。
梅本の里のスタッフの皆さんが、休憩の声をかけてくれたり、配慮してくれたりと、(障害を気にせず)人並みに思って接して下さることが嬉しいです。
■これからについて・・・

清掃業務を行っていますが、ホコリや汚れが目につかないように、頑張って仕事をしたいと思います。

 

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精神障害者能力開発訓練施設
ジョブサポートえひめ
http://www.himekaren.net/job/

〒791-1112
愛媛県松山市南高井町1306-2
TEL 089-970-3310、 FAX 089-970-3224

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